社会を今より良くするプロダクト

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食品の傷みが視覚的にわかるツール開発

さて、前回は三次産業の食品ロスを減らせるプロダクトはないものかを考え、捨てるか食べるか、開封しないまま消費期限から2〜3日が冷蔵庫の中で過ぎてしまった、という超絶微妙なゾーンにフォーカスするところまで話を進めてきました。

似たような経験を経験した人も少なくないのではないでしょうか?
お弁当や生菓子など、買った後何かしらの理由で食べられず、消費期限を見たら既に過ぎててショックを受ける、というようことです。

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1週間過ぎたら悩まず捨てるでしょうけど、2、3日は悩みますね。
このスイーツ結構美味しいやつだし、匂い嗅いでも平気そうだから、食べようかなとドキドキしながら食べたこと、ありませんか?

ドキドキしながら食べてもあまり美味しくないと思いますけど(笑)

この不安を取り除くにはどおすればよいでしょう?
誰かに毒味させるわけにもいかないですし、お店に聞いたらやめろと言われるに決まっております。

ポイントとするなら、未開封でちゃんと冷蔵庫で保存していた、ということ。

徐々に進行する食品の痛みを視覚化するツール

食品の傷みは「温度」で大きく異なることは言うまでもありませんね。作った時から食べるまで、場所が変われば温度も変わっていきます。

つまり、消費期限は一定の時間、ある程度の温度に晒されても大丈夫な期間、と言い換えることができます。


そこで、私は温度で色が変化するシールのようなプロダクトを考えました。

シールというのは、外装に貼ったり未開封であることを証すために使用することを想定しており、また既存の梱包のフローに影響を与えず、店頭で貼るだけという簡易性を重要視したためです。

このシールは不可逆的に色が変化する特殊塗料を使用し、触れた温度と湿度の量(時間)によってグラデーションのように変化する、そんなイメージです。
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消費・賞味期限の記載も従来通り印字します。このシールは、あくまで食料の痛み度合いを視覚化するもので、時間とと共に色が変化するようなイメージです。

温度によって色が変化するので、当然高温の環境に置かれると色の変化は早まりますし、冷蔵庫のような環境であれば変化は緩やかなものになります。

未開封で冷蔵庫で保存していたけど消費期限が2,3日過ぎてしまった食材は、シールの色を見れば期限が少し過ぎてるとはいえ、色の変化で食べられる食べられないの判断がしやすくなります。

ところで、食品の「痛み」とは?

ここで、少し余談ですが食品が“傷む"とはどんな科学的反応なのでしょうか?
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食品が傷む原因の大部分は、細菌やカビなどの微生物による食品の腐敗です。微生物は、条件がそろえば急速に増殖することが知られています。
では、その条件は何かと言うと、温度です。種類にもよりますが、細菌は30~35℃程度、カビは20~25℃程度が繁殖する最適の温度になります。夏場、冷蔵庫に入れずに放置した食品が一気に腐敗するのは、室温が微生物の繁殖に最適な温度だからです。

ゆえ、同じ賞味期限が記載された食品でも、その保存環境に温度が影響することがわかります。
しかし、印字されただけの賞味期限ではどのような温度環境で保存されてきたのかまで特定できません。
保存環境を視覚的に伝えるためのシールがあれば、賞味期限の印字に加えて色の変化で更に正しく食品の衛生状況を把握できます。

しかし、技術的に色が変わるシールは作れるのでしょうか?

温度によって不可逆的に色が変わる塗料は結構あります。
しかし、その変化には高い温度差が必要で、中には上の温度が100度以上必要な色もあります。お肉ならこんがり焼けてる温度です。

無理かなぁと思ってたところ、こちらの会社にこんな技術がありました。
大手の東洋紡株式会社様が2008年のプレスリリースに掲載している記事です。
www.toyobo.co.jp


ポリエステル樹脂に特殊な蛍光塗料をブレンドすることで、温度と時間によって緑〜橙色に色が変化すると。
さらにその温度幅は含有量で調節可能であるとありますね。

さらには賞味期限の警告サインにもなるとはっきり明記されてました!
いやはや、ここに技術のすべてが揃っていたわけですね。

こんなに素晴らしい技術が8年前に発明されているわけですが、まだ実際に賞味期限の目安として使われているシーンは見たことはありませんね。

東洋紡株式会社様のこの技術も素晴らしい技術ですが、こうした取り組みを地道に続けて三次産業の食品ロスへの取り組みが拡大されることを切に祈ります。

また、食品のロスに取り組まれている事業者の方でご意見頂ける方がいましたら、コメント等頂ければ幸いです。