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農家の高齢化は問題じゃない!?

今回は農家の高齢化という社会課題に対して考察を進めてみます。
筆者は食べる通信という冊子のふくしまエリアの撮影を担当させて頂いており、取材の度に様々な農家さんに出会います。その農家さんは高齢の方がほとんとです。
日本の農業就農者の平均年齢をご存知でしょうか?

平成27年はずばり、67歳です。

農林水産省が算出してくれています。
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若いひとが就農してもらえるよう、JAの職員の方たちは手厚い支援を用意しているし、農地法の改正などで耕作放棄地への新規就農者が土地を借りやすくなりつつあります。

そのような動きはあるので、よしよし、それでほっておけば大丈夫かというと、全然大丈夫じゃありません。

就農者の収入が、普通のサラリーマン並になるためには農業に関する経験値(時間)とそれなりの投資が必要になります。

経験値(時間)も無くお金も無い人は、農業に就いてもなかなか楽ではありません。むしろハローワークに行って求人広告を眺めたほうが、金銭面的にはいいでしょう。
なので、企業勤めの人はたとえ興味はあっても、実際に脱サラし、就農する方は決して多いとは言えません。

若い人が就農することが果たして本当に良いことなのか

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農業の高齢化は前述の通り、どんどん進んでおります。若い人が農家になれば、確かに平均年齢は下がります。若くなるメリットとしては、重労働でもやっていける体力、新しいことへの挑戦力、今後しばらく就農してくれる継続力、などは挙げられるとは思います。

しかし、食料を生産するという点から見たらどおでしょうか?

体力があるから生産量は増えるのか、答えはNOですね。機械や大規模化によって効率的に収穫できれは、特に年齢は関係ありません。
挑戦力は、若い人なら誰でもあるというわけではありません。若くても保守的な人もいれば、高齢者でも革命的な人がいるでしょう。
継続力もしかり、確かに高齢者は健康を害しやすく、継続性は若い人よりは劣ります。
しかし、若い人は選択肢が豊富ゆえより魅力的な仕事があれば、農家をやめてしまうかもしれません。

このように、若い=生産量が増加する という方程式はあてはまりません。

年齢、性別に関係なく競争力をどう養うか

最近の若手就農者でメディアを賑わすのは若い30〜40代の女性です。いわゆる農業女子です。
農林水産省が旗振り役として牽引するこのプロジェクトも、就農者の平均年齢の若返りを図る一つの狙いといえます。

女性でも、兼業でも、若い人が就農すれば平均年齢は確かに下がります。
しかし、前述の通り若返れば良いというわけではないのです。

農業を企業並に収益化できないと、このままだと「お小遣い農業」になってしまいます。
本業は別。農業は片手間。家計の足しになれば、くらいの温度感。

こういう農家だけになると、日本の農業は危うくなります。

なぜなら、大規模で投資的かつ積極的なイノベーションは起こりにくくなります。
当然リスク(簡単に言うと借金)を極力負わず、政府の補助金を頼りに家計の足しにすることを優先するため、税金は浪費され、競争力は失い、海外勢にこの手の農家は一掃されます。
そういう農家を守るために、また税金が使われることでしょう。

さて、徐々に問題の本質が見えてきました。

過去の農業支援で足りない心技体

技術的にも制度的にも、就農者の姿勢的にも競争という言葉が抜けていることは多くの人が感じていると思います。

大規模化や農業法人化と政府が推進しているのは、この抜け落ちた競争力を制度的に養うために考え出された仕組みといえます。これが心技体の体でしょうか。

そういう官の仕組み作りの他に、民間ではスマホと農業を繋げる面白い仕組みもできてきてます。
スマホのゲーム感覚で野菜を育て、収穫まで成長させると本物の野菜が自宅に届く、というような取り組みです。これが技、といえます。

有名なところといえば愛媛県松山市のテレファーム様
http://www.telefarm.net

他にもいくつかあるので、興味が湧いた方はご自身でもAppStoreやGooglePlayで探して見てください。

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それに加えて、IoT(Internet of Thing)の観点から全国から様々な品種の栽培データを集め、より効率的に最適な栽培方法で美味しい食材を育てる仕組み作りも始まっています。

農業とインターネット、それを媒介することを可能にしたスマホ

今後、時間の経過と共に農家さんの中にもスマホを持っている人も増えていくでしょう。(2016年現在は高齢の農家さんに普及しているとは思えませんが)

官民が各々のフィールドで競争力の創出に励んでいる様子が伺えます。

このような取り組みはTPPが始まるとさらに加速度を増してリリースされると予想できます。
海外の就農者との競争により、競争力が無い農家は自然淘汰されることは容易に想像できますらね。

さて、それでは心、の方はというとどおでしょうか?平均年齢67歳の業界の心を動かすのは至難の業です。
そこで、競争してやろうとギラギラせずとも、競争力が自然と身につけられ、気がついたら創発的なことをやっている、という方向にシフトして考えた方がいいでしょう。

ゆえ、創発的なことを現在農家さんがやっている業務内で行う、ということが必要になります。

土作り、ビニールハウス管理、種まき、肥料や害虫対策、収穫、梱包や発送という当たり前の作業の中にヒントは無いか、考えてみましょう。

自然との共同作業ゆえ、人工的に自然環境を整えるビニールハウスに着目します。

さて、この会はここまでにして、次回にビニールハウスについての考察を進めます。