社会を今より良くするプロダクト

こちらのブログは世のため人のため、家族のためになる製品を紹介するブログです。

ビニールハウスにイノベーションを!

前回に引き続き、農家の高齢化という問題に対して実は高齢化が問題ではなく、その背景に潜む競争力の低下が問題であると問題を再定義し、その背景から現在行っている延長で競争力を育んでいく、という考察をしました。

プロダクトで問題解決へ導く、というのが筆者の仕事ですので、そこからビニールハウスという視点に入りました。
f:id:hina0901:20160421181114j:plain

ビニールハウスを作ろうとする場合は多額の投資と複数の男手が必要

ビニールハウスはその規模の違いこそあれ、導入するのには相当の投資が必要となります。
一般的には設置坪あたり導入費用として1~1.5万円必要といわれており、仮に100坪のビニールハウスを作ろうとする場合は100万円以上の費用が必要になります。

全国農業会議所によると露地栽培に比べ施設栽培(ビニールハウス)の初期投資は300万以上余分に必要という試算も出されております。加えて冷暖房等を入れる場合はランニングコスト、暴風や大雪による損壊、定期的に交換が必要なメンテンスコストなど、ビニールハウスは費用的デメリットが大きいのが現状です。

また購入した後も設置には男手が二人以上、丸一日は必要になる重労働です。ビニールハウスにも色々とあるので、専門の業者じゃないと設置不可能なものもあります。


少々話が脱線しますが、読者の皆様はビニールハウスは日本で開発されたということをご存知でしたでしょうか?
戦前は竹で骨組され、障子の紙(油紙)で覆われた、保温を種の目的としたものだったようです。
戦後、大手企業の資本が入り、竹はスチールパイプに、障子の紙はビニールフィルムに変わり、今に至っております。

戦後から今日にいたるまで、素材の改良や設置をしやすくしたりなどの部分改良はあったようですが、目立った大きな変化は見受けられません。
海外では使われていないゆえ、新規参入業者も多くないので大幅な変化が起こりにくい製品だったのかもしれません。
日本発祥のビニールハウス、今後の農業の競争力を養うためにはこのイノベーションは一つのきっかけになると感じております。

さて、ビニールハウスの構造について考察を進めていきます。

ビニールハウスの現在の課題は上記のとおり、①導入コストが高い、②メンテナンスコストも高い、③ランニングコストも高い、④設置するのが大変、などといったハード面および野菜への影響というソフト面がありますが、ここではハード面について考察します。ソフト面については農薬や品種改良など、プロダクトとはちょっと視点が違うのでここでは触れずにおきます。

さて、もし仮に①~④が現在より大幅に下がれば、施設野菜へ取り組む動機(モチベーション)が高まり、既存農家が新しい取り組みを始めたり、新規就農者の増加に寄与できると期待できます。

設置が大変という点については、キャンプやイベントなどに使うテントも以前はそこそこ大変でしたが、今ではワンタッチ式や引っ張るだけといった誰でも設置できるものが増えてきました。

ビニールハウスはかなり大掛かりな資材や工具、そして人手も必要です。
作り方はこちらが参考になります。(全農群馬県本部様が作成した動画)


かなりの数の工具です。
人手もかなり必要で、不慣れな人が一人や二人ではきちんとしたものができるとは思えません。
f:id:hina0901:20160425141058p:plain


その後、巨大なビニールシートをかけていくわけですが、高いところに大きなものをかけていくのも疲れます。それを固定していく作業も。

組立はすべて現地施工です。
これを工場で組み上がっている形で搬入でき、現地ではワンタッチ(は言い過ぎかもしれませんけど)で広げられ、それらを組み合わせれば出来上がるビニールハウスがあれば、農業をやりたいなと思っている人で、頼れるベテラン農家の知人が少ない人でもチャレンジできるようになるのではないでしょうか。

工場でのロット生産なら、ある程度コストを抑えた形で生産することも可能かもしれません。
家などは図面を元に工場で大部分のプレカットは終えて、現地では組み立て中心という施工が当たり前になっていますよね。


ビニールハウスのイノベーションに挑む、我こそはという方、いらっしゃいましたら是非取り組んでみませんか?

農家の高齢化は問題じゃない!?

今回は農家の高齢化という社会課題に対して考察を進めてみます。
筆者は食べる通信という冊子のふくしまエリアの撮影を担当させて頂いており、取材の度に様々な農家さんに出会います。その農家さんは高齢の方がほとんとです。
日本の農業就農者の平均年齢をご存知でしょうか?

平成27年はずばり、67歳です。

農林水産省が算出してくれています。
f:id:hina0901:20160421175144p:plain

若いひとが就農してもらえるよう、JAの職員の方たちは手厚い支援を用意しているし、農地法の改正などで耕作放棄地への新規就農者が土地を借りやすくなりつつあります。

そのような動きはあるので、よしよし、それでほっておけば大丈夫かというと、全然大丈夫じゃありません。

就農者の収入が、普通のサラリーマン並になるためには農業に関する経験値(時間)とそれなりの投資が必要になります。

経験値(時間)も無くお金も無い人は、農業に就いてもなかなか楽ではありません。むしろハローワークに行って求人広告を眺めたほうが、金銭面的にはいいでしょう。
なので、企業勤めの人はたとえ興味はあっても、実際に脱サラし、就農する方は決して多いとは言えません。

若い人が就農することが果たして本当に良いことなのか

f:id:hina0901:20160421180239j:plain

農業の高齢化は前述の通り、どんどん進んでおります。若い人が農家になれば、確かに平均年齢は下がります。若くなるメリットとしては、重労働でもやっていける体力、新しいことへの挑戦力、今後しばらく就農してくれる継続力、などは挙げられるとは思います。

しかし、食料を生産するという点から見たらどおでしょうか?

体力があるから生産量は増えるのか、答えはNOですね。機械や大規模化によって効率的に収穫できれは、特に年齢は関係ありません。
挑戦力は、若い人なら誰でもあるというわけではありません。若くても保守的な人もいれば、高齢者でも革命的な人がいるでしょう。
継続力もしかり、確かに高齢者は健康を害しやすく、継続性は若い人よりは劣ります。
しかし、若い人は選択肢が豊富ゆえより魅力的な仕事があれば、農家をやめてしまうかもしれません。

このように、若い=生産量が増加する という方程式はあてはまりません。

年齢、性別に関係なく競争力をどう養うか

最近の若手就農者でメディアを賑わすのは若い30〜40代の女性です。いわゆる農業女子です。
農林水産省が旗振り役として牽引するこのプロジェクトも、就農者の平均年齢の若返りを図る一つの狙いといえます。

女性でも、兼業でも、若い人が就農すれば平均年齢は確かに下がります。
しかし、前述の通り若返れば良いというわけではないのです。

農業を企業並に収益化できないと、このままだと「お小遣い農業」になってしまいます。
本業は別。農業は片手間。家計の足しになれば、くらいの温度感。

こういう農家だけになると、日本の農業は危うくなります。

なぜなら、大規模で投資的かつ積極的なイノベーションは起こりにくくなります。
当然リスク(簡単に言うと借金)を極力負わず、政府の補助金を頼りに家計の足しにすることを優先するため、税金は浪費され、競争力は失い、海外勢にこの手の農家は一掃されます。
そういう農家を守るために、また税金が使われることでしょう。

さて、徐々に問題の本質が見えてきました。

過去の農業支援で足りない心技体

技術的にも制度的にも、就農者の姿勢的にも競争という言葉が抜けていることは多くの人が感じていると思います。

大規模化や農業法人化と政府が推進しているのは、この抜け落ちた競争力を制度的に養うために考え出された仕組みといえます。これが心技体の体でしょうか。

そういう官の仕組み作りの他に、民間ではスマホと農業を繋げる面白い仕組みもできてきてます。
スマホのゲーム感覚で野菜を育て、収穫まで成長させると本物の野菜が自宅に届く、というような取り組みです。これが技、といえます。

有名なところといえば愛媛県松山市のテレファーム様
http://www.telefarm.net

他にもいくつかあるので、興味が湧いた方はご自身でもAppStoreやGooglePlayで探して見てください。

f:id:hina0901:20160421180839j:plain
それに加えて、IoT(Internet of Thing)の観点から全国から様々な品種の栽培データを集め、より効率的に最適な栽培方法で美味しい食材を育てる仕組み作りも始まっています。

農業とインターネット、それを媒介することを可能にしたスマホ

今後、時間の経過と共に農家さんの中にもスマホを持っている人も増えていくでしょう。(2016年現在は高齢の農家さんに普及しているとは思えませんが)

官民が各々のフィールドで競争力の創出に励んでいる様子が伺えます。

このような取り組みはTPPが始まるとさらに加速度を増してリリースされると予想できます。
海外の就農者との競争により、競争力が無い農家は自然淘汰されることは容易に想像できますらね。

さて、それでは心、の方はというとどおでしょうか?平均年齢67歳の業界の心を動かすのは至難の業です。
そこで、競争してやろうとギラギラせずとも、競争力が自然と身につけられ、気がついたら創発的なことをやっている、という方向にシフトして考えた方がいいでしょう。

ゆえ、創発的なことを現在農家さんがやっている業務内で行う、ということが必要になります。

土作り、ビニールハウス管理、種まき、肥料や害虫対策、収穫、梱包や発送という当たり前の作業の中にヒントは無いか、考えてみましょう。

自然との共同作業ゆえ、人工的に自然環境を整えるビニールハウスに着目します。

さて、この会はここまでにして、次回にビニールハウスについての考察を進めます。

仕事しながら育児する人は泣けるほど忙しいので何とかしたい

2016年3月は、保育園落ちた日本死ねブログが一つのムーブメントを起こしており、政治で議論されるレベルにまで発展しました。

一個人の意見が、ネットを通じて雪だるま式に団体意見となり、国の施策に影響する時代になったんだなと改めて感じました。
私も3歳児と1歳児の子供がおり、まさに国の認可保育園は落ち続けている口です。
妻も職に就いており、夫婦の忙しさは尋常じゃありません。

時間的余裕は全くなく、朝起きてから寝るまで(というか寝てる時も良く起こされますが)ほぼノンストップです。

そんな状況にいる私としては、自分の得意分野で打開策が出てこないかと考えてみました。
それが、このブログのタイトルです。


仕事と育児の忙殺さから、ほんの少しでも気持ちを軽くするプロダクト

f:id:hina0901:20160421165654j:plain

この問題はかなり壮大なため、もう少し深堀していきます。

働くママは時に厳しい選択に迫られます。
忙しいときの子供の突発的な発熱や病気のときです。

程度にもよりますが、子供はすぐに熱が上がります。しかも前兆無しに。
こういう事態の際には、誰もが「子供が苦しんでる時に仕事なんて」と思いますね。

なので、多くの母親は保育園からの呼び出しに怯えながら仕事をするわけで、重役になればなるほどその恐怖は大きくなるので、重役に就きたがらないし、意に反して就くこともあまりありません。

ビジネスウーマンとしての才覚のあるママは、この重荷と向き合うことになります。

なので、大半のママは仕事と育児の両立と言いつつも、軸足は子供で仕事はできる範囲、という結果になります。

こうした問題に助け舟となるプロダクトとは何でしょう。

おそらく、子供のケアを何かのプロダクトに託す、という選択肢は、完璧な育児ロボットができない限り無いでしょう。
どちらかというと、仕事の方をプロダクトでケアする、という方が現実的です。


ネット社会はテレワークをどこまで可能にしたか?

f:id:hina0901:20160421160928j:plain

そう考えると、パソコンを筆頭にネットワークがあればどこでも仕事ができるようになりました。
いまやそういうビジネススタイルは全然珍しくなくなりましま。

ただ、顔が見えないと信用ならない、という職種の場合はそうもいきません。
人の気持ちによって、業績を左右する職種の場合はなかなかディスプレイ越しのコミュニケーションだと厳しいです。プロダクトデザインも好き嫌いの影響が大きい案件の場合は、担当者の心の機微を感じ取れないとうまくいくものもいかなくなります。

さて、そうなると、人の心の機微が子育てしながらでも感じ取れるプロダクト、ということが育児しながらでも仕事をする上で必要になります。
そんな製品があれば、働くママに余暇を産んだり、呼び出しに怯えなくて済む、ということになります。

それでは、人の心の機微について、考察します。
人の心の機微、なんてなかなか掴めるものではありませんが、目の動きや手の動き、癖や喋り方など総合的に判断して心理状況を汲み取っている、と言われます。

めちゃくちゃ繊細な情報です。動物的感覚に近い。

本気で心の機微を感じとるくらい微細な動きを伝えるためには、それなりのネットワーク回線が必要になります。加えて、それなりの解像度を有したモニターも。


リビングに置かれているテレビの活用

f:id:hina0901:20160421162024j:plain


テレビは大型化、高解像度化が進んでおりますが、その活用コンテンツはテレビや映画、といったところが中心。テレビもインターネットに繋げられるようプラグ端子も付いていますし、PCに繋げられるようHDMI端子もあります。
しかしながら、ビジネスに使うということはあまりありませんでした。
なぜでしょう。
テレビ電話的に話すだけなら、PCのモニターとカメラで十分ですし、Skypeなど無料のサービスを使うなら、PCの方がインフラが整っているからでしょう。
しかし、すでに記載したように感情の機微を逃さず掴み取るにはそれでは不十分です。

家庭用のテレビにママ向け打ち合わせシステムを導入したら何が変わるのか


家庭用テレビはパソコンモニターに比べ結構大きいので、PCに比べて少し距離を起きますね。会議中の人と同じくらいの。
その距離感がいいんです。PCのテレビ会議ですと、よく顔を見ようと思うとかなりモニターに近づかなくてはならず、相手には心理的に近すぎる印象を与えてしまいます。

また大画面ですから、再生側の環境さえ整えばテレビを通じてみる相手の表情や仕草はよくわかります。
テレビにはマイクやカメラは付いていないので別途つける必要がありますが、昨今ではハイビジョン撮影が可能な外付けカメラも安価に販売されており、相手にも自分のことクリアな状況で伝えることが不可能ではなくなりました。

しかし、越えなければならないハードルはいくつかあります。
まずハイビジョンの動画をスムーズにやり取りするためのネットワーク回線。
そして再生側に求められる高いスペックのハードウェア(CPUやメモリ、ビデオボードなど)が必要になります。

ただし、回線速度は年々高速化が進んでいるということに加え、ハードウェアについては年々安価になっています。
家にいるのですから有線が使える可能性が高いので、受け手となる相手側の環境さえ整えば十分に再生は可能になります。

今現在ではまだ回線速度の壁が高いでしょうし、無料のサービスがあるのにお金を払って家のテレビに会議システムを導入する人は少ないかもしれません。
リビングで打ち合わせとなると背景に生活感が思いっきり映りますしね(笑)


しかしながら、私は近い将来、ネットワークの役割は「情報の伝達」から「感情の伝達」へシフトすると確信しています。


テレビの新しい活用、製品化されるためにはまだまだクリアしなくてはいけない課題もたくさんありますが、本格的な開発に前向きになっていただける方が一人でもいたら幸いです。



2017年12月追記

元グーグルの開発メンバーが心理的距離を無くすテレワークを開発中

こんな記事を書いた1年後、グーグルを卒業した方が立ち上げた、テレワークに関するスタートアップがまさにこの心理的な距離感を無くす取り組みを実践しています!
クラウドファンディングでも目標額(200万円)を超えて達成して、今後の動向に注目です!

https://readyfor.jp/projects/continuum

このブログについて

このブログでは社会に役立つプロダクトを紹介したり、あったらいいなを思い付いた時の備忘録的な要素を兼ねたブログです。


製品は何かしら人に役立つために産まれるわけですから、社会に役立つとかって書くと如何わしい何かに思われるかもしれませんので補足しておきます。
isip-worksのisipとは、Idea of Social Innovative Productの略で、社会問題をプロダクト製品で改善へ導くアイデア、という意味を込めてネーミングをつけております。

開発と製品化の間にある高い壁

私は長年、プロダクトデザインや製品開発といったものづくり関連に携わってきました。仕事では販促やマーケティングなどもよくやりました。

今はそんな経験値を活かして、製造業やものづくりのコンサルタントとして活動しています。

開発製品を実際に市場に投入するには高い壁があり、それを乗り切って製品化しただけでも十分素晴らしい。
しかし、販売を開始してもマーケティングや市場環境の変化で売れない、陳腐化などなど、市場に浸透させるのはさらに大変です。

ボディショップ動物実験の広報戦略から見る経済性と社会性

社会性重視の製品は、経済至上主義の中から零れ落ちそうな分野に挑んでいたりしているわけなので、さらに大変です。
価値感を経済面と社会面の両面から捉えられる消費者に訴えたり、そうした方を増やす活動をしたりしないといけません。
化粧品を製造するbody shopの動物実験に反対する広報戦略はそれに近いですね。競合が多い市場の中で、社会性の高い製品を作って生き残るために、ターゲットの方にダイレクトに届けつつ、動物実験の悲惨さを暗に訴えターゲット全体のボリュームを増やすマーケティングです。

THE BODY SHOP動物実験に対するコメント
http://www.the-body-shop.co.jp/commitment/against-animal-testing.html

話題の新製品やニュースをものづくり目線で紹介

f:id:hina0901:20160421171647j:plain

新しい技術や市場環境の変化を捉えつつ、ものづくりに興味があったり新しい製品が好きな方に、面白く読んでもらえればと思っています。

私の仕事がら、開発〜製造〜販売で色々な課題やドラマを垣間見ていますので、そうした目線から話題の新製品やニュースについて、その裏側を考察していきます。