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高すぎて買えない安心(津波観測用ブイ)

2016年4月には九州地方においてマグニチュード7を超える超巨大地震が連続して発生し、死傷者が多数発生するという悲惨な震災が発生しました。

東日本大震災から5年が経った今年、日本という国が地震と隣り合わせの国であることを改めて思い知らされました。



今回の開発テーマは、地震に関連したものにしようと考えていたところ、私が定期購読している朝日新聞の3月12日の記事を思い出しました。
インターネットにも掲載されておりますので、紹介します。

インドネシアの国の財源不足により、津波観測用ブイが活かされていないという記事です。

www.asahi.com


高くて買えない津波観測用ブイ

この記事を読んでその金額に驚いたので、記憶の片隅に残っていて今回の九州地方の地震で思い出しました。
上記のサイト上には具体的な金額は記載されておりませんでしたが、新聞には一機あたりの料金が紹介されておりました。

その額、日本円で約3,500万円。

高っ!しかも耐用年数5年で修理不可とのこと。
沿岸部での設置のため、点検費用もインドネシアが設置した分すべて合わせると年間2億6000万円必要とのことで、同国には必要基数の追加購入が困難かつ十分な点検もされていないとのことです。

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(NHKオンラインニュースより引用)

私はインドネシアに詳しいわけではありませんが、少ない財源を優先順位をつけながら割り振りをしていると思いますし、津波対策を軽んじているわけでは決してないと思います。

この金額が高いのか安いのか、使っている部材や技術のものさしが私には無いので何とも言えませんが、費用面で買えないという国が存在してしまっているという事実はあるわけです。

そもそも、津波予測ってどうやってる!?

日本はこれまでも数多くの地震に見舞われた国ゆえ、おそらく地震津波に関する予想技術は世界でもトップレベルだと思います。
東南アジアなどの地震国の方達が日本を視察に来たり、技術を学びに来ているというニュースはよく耳にします。

地震が発生すると、まず緊急地震速報の技術が活用されて津波警報・注意報が発令される仕組みになっています。
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気象庁HP 津波警報・注意報の改善に関するこれまでの取り組みより引用)

各観測地点からデータを収集後、膨大な津波の情報が蓄積された津波データベースとの始まります。

照合が完了すると、津波発生の有無や津波到着時刻が算出され、さらに観測地点からのデータ収集と照合が進む、という仕組みのようです。

やや難しい内容ですが、気象庁のサイトに詳しく載っているので興味のある方はググってみてください。
気象庁 | 津波警報・注意報の改善に関するこれまでの取り組み


津波予測の方法がちょっとわかったところで、この3500万円する観測用ブイは何に使われているのかを考えます。
上記の各観測地点に該当するのがこのブイということでしょう。
ブイにはGPS波浪計が組み込まれているので、地点ごとの波の動きを把握できます。地震発生後、この観測地点の情報を集めた上でデータを解析し、津波予測とするわけなのでこの観測地点が多ければ多いほどデータの精度があがるというわけです。

万が一の時に備える必要なコスト

データ解析のための観測用ブイに3500万円かけた結果、子供たちへの給食配給が止まったり、医療費の高騰などが起きてしまっては、国民の安全に寄与する行為が裏返しになってしまいます。

万が一のための備えを充実させた結果、毎日の食事が貧しくなってしまうような防災対策はやり過ぎです。

津波観測用ブイの目的を果たすためには、数の力も必要になります。
そしてメンテナンスコストを低減することも必要です。

実際に観測用ブイに必要だろうと思われる最低限の機能を考えていきましょう。

①置かれる環境は海上という環境なので、耐久性や耐候性が必要にはなります。
②係留式ゆえ、係留索が切れたりすると沿岸部に被害を与えかねないので、係留対策は必要です。
③自給で電気を供給する必要があるため、太陽光発電もしくは異なる方法で電源の確保が必要です。
④もちろんGPS機能もです。

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GPS波浪計システムの概要(釜石港湾事務所HPより引用)


さて、波浪計にもいくつか種類があるので一概には言えませんが、GPS機能はスマートフォン市場成長と共に技術・コスト両面から飛躍的に導入のハードルが下がりました。配電設備についても電気自動車を中心にリチウム電池の開発が進んでおり、蓄電効率は向上しています。太陽光パネルによる発電もこれまで以上に小型化できるかもしれません。

徹底的に導入コストとメンテナンスコストを下げる仕組みつくり

現在の観測用ブイは1基あたりの製造コストやメンテナンスコストが国の負担になっていますが、もう少しビジネス手法は用いればコスト低減は図れるのではないでしょうか?

まず、商船や漁業関係者と委託契約を結び、ブイのメンテナンスを外部に委託することで作業負荷を軽減することも考えられます。
また前述したとおり耐候性・耐久性、係留対策をしっかりしたうえでGPS機能とデータ送受信を行うだけの発電システムを持つ端末であれば、プロダクトデザインは一変する可能性があります。

メンテナンスコストを下げるためにも、小型化は有効です。一隻の船でいくつものブイを交換することも可能になるためです。

発電部、心臓部、そして心臓部を保護する保護部、海面海中との接水部の四部構成としてプロダクトを再編製し、心臓部となる部分にはスマートフォンで演算処理させれば機能する可能性はあります。

心臓部のスマートフォン化およびメンテナンスの外部委託化により、現在の導入・メンテナンスコストを劇的に削減し、発展途上国津波予測の精度向上に寄与できるのではないでしょうか。

ただ、私は津波観測について知見があるわけではいので、不足している視点などがあると思います。
津波観測に詳しい方、そしてこのような開発テーマに共感して共同で開発して下さる経営者の方がいらっしゃいましたら是非ご連絡頂ければ幸いです。


最後に、今回の熊本を中心とした九州地方での震災により被災した皆様の一日も早い復興を祈念しております。