社会を今より良くするプロダクト

こちらのブログは世のため人のため、家族のためになる製品を紹介するブログです。

蚊を減らすアイデア 〜実践編〜

前回のブログ「蚊を減らすアイデア 〜考察編〜」から一ヶ月余りが経ってしまいましたが、とうとう実際に試作を作ってみることにしました。

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まず、用意するのは
・2lのペットボトルの上三分の一を切ったもの
・300mlのペットボトルを同様に切ったもの
・砂糖50g
ドライイースト2g
・リンゴジュース100ml
・黒いテープ
・お湯200ml

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蚊は暗いところが好きなので、大きい方のペットボトルを黒いテープでぐるぐるに巻きます。

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お湯を沸かしてペットボトルに入れ、砂糖をすべて入れて溶かします。
完全に溶けたら、40度くらいになるまで冷まします。
※このくらいの温度が、イースト菌の発酵に最適だからです。

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冷めたらドライイーストを入れ、1〜2時間程度室内で発酵させます。
発酵すると、鼻を付くような刺激臭が発生しますが、これが二酸化炭素を含んでいて蚊を誘引する大切な役割を果たします。

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さて、ここで小さいペットボトルにリンゴジュースを入れ、そのペットボトルを大きいペットボトルの中にそっと入れます。
蚊が大好きな二酸化炭素と果実のダブル攻撃で、ごっそり撃退が期待できますね!

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あとは大きいペットボトルの上部をひっくり返して挿し込んだらほぼ完成です。
多少の雨や落ち葉を防ぐために簡易な傘を紙皿で作成したら完璧です。

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私の住まいの庭の蚊が多いところに設置しました。
ここに置きに来ただけで二箇所刺されるくらいですから、さぞかしこのトラップに蚊がたくさん引っかかることでしょう。
わくわくしますねー。



そうして3日が過ぎた頃、恐る恐る蓋を開けて見ました。。





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あれ?
小蝿が5,6匹捕まっただけで、蚊らしい存在は見受けられません。
何がいけなかったのかな?
発酵が弱かったかと思い、諦めきれない私は再度やり直してもう一回チャレンジしました。



そうして更に3日後、今度はどおかと蓋を開けてみると。。。


ぎゃーーー
巨大なGがーーー
※あまりのグロさに画像は非掲載としました。
その上蚊は一匹も捕まっておりません。

この一件で心が折れ、私の完敗という結果になりました。。。

蚊対策、一筋縄ではいかないことがよくわかりました。

ペットボトル蚊取り機は、日本ではほとんど効果無し

今回の結果から、東南アジアで効果が高かったペットボトル蚊取り機は日本ではあまり効果が発揮されないことがわかりました。
私の作り方がまずかったのかもしれませんが、しっかり発酵してましたし、蚊も大量にいるところに設置しての今回の結果なので、根本的にイースト菌による二酸化炭素の誘引というアプローチから見直さないと駄目かもしれないです。


今回は私の完敗ですが、次の秘密兵器を開発して必ずやリベンジすることを誓います!

蚊を減らすアイデア 〜考察編〜

以前からこのブログ(社会を今より良くするプロダクト)で書こう書こうと思ってたテーマがあります。

そのテーマとは、蚊の対策です。

昨今、蚊を媒介とした感染症がニュースになるケースが増えてますね。
日本ではデング熱やジカ熱という感染症が昨年の2015年から耳にすることが増えました。日本では発症件数は少ないものの、マラリアは今も毎年60万人もの命を奪っているということをご存知でしたでしょうか。
ビル・ゲイツも自身のブログ(下の画像)で蚊がいかに多くの方人の命を奪っているのかについて触れていることは周知の事実。
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身近な存在であることと、マラリアという遠い国の感染症が非常に密接に関係しているということは、頭で理解できてもなんとなく他人事のように感じてしまいますよね。
しかしながら、いよいよ国内でもデング熱やジカ熱の発症事例が見られるようになり、徐々に自分ごと化してきた人も多いのではないでしょうか。

ということで、今回のテーマは蚊の対策について、ものづくりの視点から考察を進めていきます。

一言で蚊対策といっても、対策方法には大きく分けて3段階あります。

まず、「蚊の増殖を防ぐ」という根本的な対応が一番望ましいです。殺生せずに済みますから。

私が住んでいるエリアは、公園があったり大昔は沼もあったとのことで、非常に蚊が多い地帯なんです。
昨年の暮れに組合にかけあって「蚊シャットくん」なるプロダクトを買って設置してもらいました。
www.ookura-it.com


蚊の温床となっている、雨水マスを金網で塞いでしまおうという荒業のプロダクトです。
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こういうところに
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こういう金属の網戸を敷いてしまうアイデアです。なんともシンプルでわかりやすい。

実際に4か月程度使ってみて、枯れ葉が詰まりやすくなってしまうこと以外は設置も簡単ですしお値段も安くてマンションの住人からも承認が貰いやすかったです。
しかししかし、やっぱり2、3個雨水マスを塞いだ程度では蚊の増殖を抑えられず、相変わらず我が家周辺ではブンブン飛んでいる始末です。。


さて、残念ながら蚊の発生を抑えられなかったら、次は「発生した蚊を倒す」という対策。
殺虫スプレーやベープのような殺虫剤がこれにあたります。
トラップ的なのもこれに該当しますね。
そう、トラップで思い出しましたが、読者の方の中には、ペットボトルで作る蚊の退治用のこちらをご存知の方はいらっしゃいますか?

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実は二年ほど前、私も実行しては蚊はほとんど捕まえられず、よくわからない虫の群生と悪臭を発する液体だけを残すという失敗を経験しています。
知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、「ペットボトル 蚊」などとググれば作り方サイトは大量に出てきますので、ここでは作り方は説明しません。
もし作られる方は私のような失敗をしないようにお気をつけて。。。


最後の蚊の対策としては、「蚊を避ける」という対策です。
虫除けスプレーとか、虫コナーズがここに該当しますね。


そんなこんなで、蚊の対策に試行錯誤を繰り返しておりますが、つい先日こんなことがありました。

蚊の主食は花の蜜と果汁であることを思い知らされる。

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三歳の娘が我が家のソファにリンゴジュースを大量にぶちまけ、私が庭にポタポタしたたるリンゴジュースだらけのソファを運び出した時です。
軽く拭いて、乾かしているとそれはそれは、驚くばかりの蚊の群生がソファに群がってきました。

我が家のソファは黒い革製なのも影響してか、ざっと10匹はソファに群がりっておりました。
それを見た私は、蚊の主食が人間の血液ではなく、花の蜜や果物の果汁であることに改めて気づかされました。

ソファに群がる蚊からは、無邪気に突然の果汁パラダイスを喜ぶ歓喜の声が聞こえてきそうでした。


その蚊を見て、私は蚊を減らす一つのアイデアを思いつきました。


先のペットボトル蚊取り器の失敗は、気温が低かったため発酵が進まず、蚊をおびき寄せるだけの二酸化炭素が発生しなかったからと分析しております。
しかし、今回のソファにリンゴジュースぶちまけ騒動で見た蚊の群生は、一目散にリンゴジュースに駆け寄ったわけです。
それなら、同じ構造で中身をリンゴジュースにしたら、もっと効果的にかつ悪臭を減らしたペットボトル蚊取り器を作れるのでは!?

今回の記事はここまでにしますが、次回以降、リンゴジュースペットボトル蚊取り器の制作レビューを紹介します。

お楽しみに!
もし私よりさきに実行した方がいましたら、是非感想聞かせてください!

成形方法と製造コストのイノベーション

前回から引き続き、子供のアレルギー対策をプロダクト目線から考察していきます。

前回は子供のアレルギーは成長と共に改善されていくことが多いため、基本は塗り薬による皮膚のメンテナンスが中心という話を書かせていただきました。

 

ゆえ、皮膚のメンテナンスに欠かせない塗り薬の容器について、今回はものづくりの視点から話を展開していきます。

 

射出成型については前回触れたとおり、金型内にドロドロに溶けたプラスチックを高圧で射出し、冷えたところを取り出すという方法で量産されます。

大量生産する際に価格面でのメリットがあります。

 

射出成形の歴史は古く、1921年にドイツで初めて射出成形機が発明されてから約100年近く前に開発された技術となりますが、今日のものづくりにおいても主要なプラスチック製品の生産方法となっております。

 

この約100年の間に射出成形機も進化してはおりますが、デザイン上この成型方法が苦手するものがあります。

それは、製品の肉厚の変化です。

製品自体のデザインに厚い箇所と薄い箇所が複雑に設計されていると、射出圧力が高めに必要にって「バリ」や「ヒケ」が発生して不良成型品となってしましむ。

※「バリ」や「ヒケ」については、こちらの会社様のサイトがわかりやすいです。

成形品の不具合 | 金型 | プラスチックの話 | 工業用品部 | 株式会社リッチェル

 

さて、射出成形の得意不得意を理解したうえで、改めて塗り薬の容器を見てみると今のデザインが理に適っていることが理解できると思います。

肉厚は均一ですし、ドロドロのプラスチックが流れにくそうな箇所は特にありません。=不良を起こしにくい。ということになります。

 

ここで、薬剤師さんの目線でもこの容器について考えてみましょう。

皮膚科などに行って処方箋をもらうと、薬剤師さんが奥の方で何かやってますね。

薬剤メーカーから買っている薬を販売するだけであれば、チューブに入った状態で売ればよいので薬剤師さんは特に何もしません。

いわゆる調剤を行う場合、下記のような調剤工程を経て、患者へ提供しています。

youtu.be

 

こうした軟膏を混合した薬を混合軟膏と呼びますが、この混合軟膏を作る工程として、動画で消火したような手で作る薬局が少なくないようです。

なるほど、この作業を行うなら容器の口は広くないと、混合した後ヘラでは入れにくくて仕方ありません。

 

だんだん、デザイン要件がまとまってきましたね。

・射出成形による大量生産でのコスト競争力は維持

・薬を塗った後は手がべた付いているので、閉めるときは容器を触る面積は最小に

・薬剤師さんはヘラで容器に入れるため、容器の口は広く

 

以上を網羅するプロダクトデザインであれば、競争力を持った製品になる可能性があります。

 

そこで私が考えたものは、マヨネーズのフタの構造を活かしたワイド版マヨネーズです。

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 薬を出し過ぎず、かつ根詰まりしない程度の穴径を確保します。

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この容器の青い部分がマヨネーズの蓋に代わるイメージです。

 

容器下部をギュッと握ることで、圧力で塗り薬を出すイメージです。

ここで大切になる点としては、容器下部は弾力のある素材を用いて手で押して変形するくらいの柔軟さが必要になります。

しかし、この要件になると、通常は射出成形ではなくブロー成形になります。

 

ブロー成形も射出成形と同様金型を使用します。

流し込むプレスチックが液状からシート状になった、とイメージ頂ければわかりやすいと思います。

こちらの動画がわかりやすいかと思います。

youtu.be

 

ブロー成形と射出成形の二つの設備を使って製品を作る場合コストが上がる可能性が高いです。

射出成形で1次フォームを作り、そのフォームを再加熱してブロー成形で求める形状を作成する射出ブロー成形という工法もありますが、こちらに関してもフタの成形と異なる設備のため価格競争力が低下する恐れがあります。

 

今回の考察では具体的なコスト算出まではしませんが、蓋と容器を分けて作成しても既存の容器に負けない価格競争力が必要になることはここに記載しておきます。

 

また、手に馴染む形状で、蓋側を下に向けて軟膏材が下に集まるようにデザインする必要があります。

形状でいうとこんな感じです。

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下側がマヨネーズのようなヒンジ付きの蓋になります。

 

さて、そろそろ今回も終わりですが、ものづくりから考える子供のアレルギー対策で今回は軟膏材容器にフォーカスしました。

デザイン上の工夫の余地はまだまだありますが、生産コストが非常に重要になる観点でした。

子供の成長とアレルギー対策

今回は妻のお願いもあって「子供のアレルギー」をテーマに考察を進めようと思います。

妻からお願いされるだけあって、私の子供はアレルギーの一種である「アトピー性皮膚炎」に悩まされております。
非常に強い痒みを伴って体中に発疹ができてしまい、ひどいところは慢性化して皮膚が硬化してしまっているかわいそうな状況なのです。

ゆえ、どうにか改善を図ろうと皮膚科に通い、掃除もこまめにしたりしていますが中々改善していきません。

アトピー性皮膚炎の原因は遺伝?生活環境?

私も妻もアトピー性皮膚炎ではなかったので、子供だけが何故?と不思議だったのですが、必ずしも親からの遺伝だけではないようで、親戚にいれば遺伝子レベルではアレルギー体質を保有している確率はあり、また生活環境がきっかけで発症するというケースもあるようなのです。

起きているときはそうでもないのですが、寝ている間に無意識にボリボリと掻いてしまい、皮膚がさらにボロボロになっていくという悪循環に陥ってしまうのです。

ダメだよって言っても痒いものは痒いですし、私も夜中にボリボリという音に起こされて薬を塗布したりして寝不足になりますし、本人はしばらくは痒いので痒さと眠たさの葛藤が続いてしまい、毎晩可哀そうで仕方ありません。

なので、どうにかしてほしいという妻の思いと、同じような悩みを持っている方に少しでも参考になればと思い、このテーマとしました。

もうご存知の方も多いと思いますが、アレルギーについて簡単に説明します。

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(認定NPO法人アレルギー支援ネットワークHPより抜粋)
体内に異物が侵入したときに起こる抗原抗体反応、それがアレルギーです。
通常、体を守るはずの抗体が体を傷つけてしまう、そんなシザーハンズような状態がアレルギー反応とされています。

アレルギーと一言で言っても、その種類は非常に多様です。
ここでは、免疫能力に関連するアレルギー反応の中でも、自分の子供が発症してしまっているアトピー性皮膚炎にフォーカスします。もちろん、他の症状についても切っても切れない関係にあるため、いくつかの症状についても触れながら考察を進めます。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎の皮疹の症状として、以下の特徴が挙げられます。
アトピー性皮膚炎ドットコム様より転載)

【皮疹の特徴】
急性の皮疹
赤みのある皮疹
水分が浸み出してジクジクした赤みのある湿疹
ぼつぼつした皮疹に水ぶくれが伴っているもの
角質がカサカサになり、剥がれたもの
かさぶた

【慢性の皮疹】
正常な部分との境い目がはっきりしない皮膚の赤み
表皮が厚くごわごわになった状態
ひっかき傷。出血を伴う場合もある。
強いかゆみを伴う皮膚のしこり
色素沈着を伴い、黒くなる

また、アトピー性皮膚炎に対してはこれという処方箋が無く、皮膚炎の炎症を緩和させることが治療の唯一の手段です。
そのために使われているステロイド剤についても、医師によってはその副作用を強く打ち出すというケースも存在しています。

患者にとっては原因は不明(多因子性)で、根気強く保湿や炎症止めの薬を塗ることで、治らずとも日常生活に支障のない範囲にとどめる(このことを専門用語で寛解(かんかい)と言います)ことが治療の目標とされます。

アトピー性皮膚炎の患者数はどれくらいいるの?

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正確な患者数はわからないみたいです。ただ、推測として厚生労働省が発表している「患者調査」2014年版を参考にすると、45万6000人という患者数が試算されています。
ただ、これはあくまで統計的な計算をした上での予想値で、医師によっては異なる見解を示してることもあります。
実際に私の子供も、症状としては間違いなくアトピー性皮膚炎ですが、皮膚科の先生が病名をはっきり言ってくれたことは今のところありません。(診断書を求めればおそらく書いてくれると思いますが。)
幼児の皮膚疾患はアレルギー反応であっても、一時的なこともありはっきりと病名を診断されないこともあるため、おそらくこの数値より大きいのではないでしょうか。

計算方法や調査方法など、より詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html


塗り薬、食生活や住環境の改善、ストレスの緩和などが幼児のアトピー性皮膚炎の主な治療方法で、部位に応じて塗布する回数を増やし、改善されたら塗布の回数を減らしたり、薬の種類を変えて寛解状態を維持するようにします。

寛解状態を長く維持することで、成人後にアトピー性皮膚炎を再発するリスクを軽減するということも症例からわかっています。

つまり、アトピー体質なら「ずーっと何かしらの塗り薬は必要」ということです。

アトピー性皮膚炎の患者のためのプロダクト

さて、色々と調べていく中で患者の方のライフスタイルが見えてきました。
実際自分の子供もそうなので、非常に想像しやすいです。

まず、日常生活に支障が無い、ということを前提にします。
日常生活にも支障をきたすくらいの患者様もいるかもしれませんが、今回は寛解状態を維持することや、ちょっと悪くなったとき(専門用語では増悪(ぞうあく))時に対応できるくらいのプロダクトを考えます。

まず、寛解状態であれ、増悪状態であれ、基本は皮膚の防御能力を高めるための保湿剤を塗布することは必要です。
また、部位よってはステロイド剤などを塗布し、早期に治癒させて寛解状態へ導く必要があります。
多いときは朝・夕(入浴後)の2回、寛解状態であれば入浴後1回、という頻度で用います。

これくらいの頻度であれば家にいるときならさほど問題ないでしょう。
お風呂上りに皮膚の保湿くらいする方は多いので、さほどハードルの高さは感じませんね。

親の手から子供の肌へ直接タッチするので、スキンシップにもなるメリットもあります。

しかし、外泊時は気をつけなければなりません。
日常的に使う薬となると、手の届きやすいところにポンと置き、そこにあるのがあたりまえとなって外泊時やお出かけの際に忘れてしまう、なんてこともあるでしょう。
実際に妻も塗り薬を忘れたことは数回ありました。

1日くらいじゃそこまで悪化はしないかもしれませんが、2泊以上な家を離れる際に忘れると悲惨です。
ただでさえ環境が変わって皮膚にも高いストレスがかかっているのに薬が無いとなると、精神的に不安定になります。
この状況はアトピー性皮膚炎だけではありませんね。薬を常飲している方であれば常備するために専用の携帯ケースなどに入れている方もいらっしゃることでしょう。

塗り薬のパッケージの画一性

ここで、アトピー性皮膚炎で使用する薬のケースについて簡単に紹介すると
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こうゆうのか
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こうゆうのです。

他にもあるかもしれませんが、処方箋に基づいてもらう薬はほとんどがこのどちらかではないでしょうか。
下のケースに至っては、医療費のかからない子供でも容器代(30円)は別途払って買う必要があります。

これでも特に大きな支障はありませんが、回して開閉するタイプなので、塗り薬を使った後に占めるとフタがヌルヌルしてしまいす。

また、片手しか使えないシチュエーションの時には開けにくいです。指を駆使してもヌルヌルしてることが多いのでやりにくくて仕方ありません。
※小さい子供がいるご家庭ならわかってくれると思いますが、片手で何かをやることが多くなってどんどん手先は器用になります。

そもそも、軟膏容器にはなぜ回すタイプしかないのでしょうか。
その謎について、ものづくりの視点から考えていきます。

下のような軟膏ケースはプラスチックでできていることがほとんどだと思います。
また容器は半透明で、蓋に青などの色が配色されています。

この配色やデザインは、射出成型と言われる成型方法で大量生産されるのに適した形状なのです。


射出成型について、下記の画像と動画を参照しながら簡単に説明いたします。
射出成型とは、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法です。

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動画はこちらから
youtu.be


それでは、射出成型でのメリットとデメリット、そしてよりアレルギー体質の方にとっての軟膏ケースについての考察は次回へ続きます。

高すぎて買えない安心(津波観測用ブイ)

2016年4月には九州地方においてマグニチュード7を超える超巨大地震が連続して発生し、死傷者が多数発生するという悲惨な震災が発生しました。

東日本大震災から5年が経った今年、日本という国が地震と隣り合わせの国であることを改めて思い知らされました。



今回の開発テーマは、地震に関連したものにしようと考えていたところ、私が定期購読している朝日新聞の3月12日の記事を思い出しました。
インターネットにも掲載されておりますので、紹介します。

インドネシアの国の財源不足により、津波観測用ブイが活かされていないという記事です。

www.asahi.com


高くて買えない津波観測用ブイ

この記事を読んでその金額に驚いたので、記憶の片隅に残っていて今回の九州地方の地震で思い出しました。
上記のサイト上には具体的な金額は記載されておりませんでしたが、新聞には一機あたりの料金が紹介されておりました。

その額、日本円で約3,500万円。

高っ!しかも耐用年数5年で修理不可とのこと。
沿岸部での設置のため、点検費用もインドネシアが設置した分すべて合わせると年間2億6000万円必要とのことで、同国には必要基数の追加購入が困難かつ十分な点検もされていないとのことです。

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(NHKオンラインニュースより引用)

私はインドネシアに詳しいわけではありませんが、少ない財源を優先順位をつけながら割り振りをしていると思いますし、津波対策を軽んじているわけでは決してないと思います。

この金額が高いのか安いのか、使っている部材や技術のものさしが私には無いので何とも言えませんが、費用面で買えないという国が存在してしまっているという事実はあるわけです。

そもそも、津波予測ってどうやってる!?

日本はこれまでも数多くの地震に見舞われた国ゆえ、おそらく地震津波に関する予想技術は世界でもトップレベルだと思います。
東南アジアなどの地震国の方達が日本を視察に来たり、技術を学びに来ているというニュースはよく耳にします。

地震が発生すると、まず緊急地震速報の技術が活用されて津波警報・注意報が発令される仕組みになっています。
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気象庁HP 津波警報・注意報の改善に関するこれまでの取り組みより引用)

各観測地点からデータを収集後、膨大な津波の情報が蓄積された津波データベースとの始まります。

照合が完了すると、津波発生の有無や津波到着時刻が算出され、さらに観測地点からのデータ収集と照合が進む、という仕組みのようです。

やや難しい内容ですが、気象庁のサイトに詳しく載っているので興味のある方はググってみてください。
気象庁 | 津波警報・注意報の改善に関するこれまでの取り組み


津波予測の方法がちょっとわかったところで、この3500万円する観測用ブイは何に使われているのかを考えます。
上記の各観測地点に該当するのがこのブイということでしょう。
ブイにはGPS波浪計が組み込まれているので、地点ごとの波の動きを把握できます。地震発生後、この観測地点の情報を集めた上でデータを解析し、津波予測とするわけなのでこの観測地点が多ければ多いほどデータの精度があがるというわけです。

万が一の時に備える必要なコスト

データ解析のための観測用ブイに3500万円かけた結果、子供たちへの給食配給が止まったり、医療費の高騰などが起きてしまっては、国民の安全に寄与する行為が裏返しになってしまいます。

万が一のための備えを充実させた結果、毎日の食事が貧しくなってしまうような防災対策はやり過ぎです。

津波観測用ブイの目的を果たすためには、数の力も必要になります。
そしてメンテナンスコストを低減することも必要です。

実際に観測用ブイに必要だろうと思われる最低限の機能を考えていきましょう。

①置かれる環境は海上という環境なので、耐久性や耐候性が必要にはなります。
②係留式ゆえ、係留索が切れたりすると沿岸部に被害を与えかねないので、係留対策は必要です。
③自給で電気を供給する必要があるため、太陽光発電もしくは異なる方法で電源の確保が必要です。
④もちろんGPS機能もです。

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GPS波浪計システムの概要(釜石港湾事務所HPより引用)


さて、波浪計にもいくつか種類があるので一概には言えませんが、GPS機能はスマートフォン市場成長と共に技術・コスト両面から飛躍的に導入のハードルが下がりました。配電設備についても電気自動車を中心にリチウム電池の開発が進んでおり、蓄電効率は向上しています。太陽光パネルによる発電もこれまで以上に小型化できるかもしれません。

徹底的に導入コストとメンテナンスコストを下げる仕組みつくり

現在の観測用ブイは1基あたりの製造コストやメンテナンスコストが国の負担になっていますが、もう少しビジネス手法は用いればコスト低減は図れるのではないでしょうか?

まず、商船や漁業関係者と委託契約を結び、ブイのメンテナンスを外部に委託することで作業負荷を軽減することも考えられます。
また前述したとおり耐候性・耐久性、係留対策をしっかりしたうえでGPS機能とデータ送受信を行うだけの発電システムを持つ端末であれば、プロダクトデザインは一変する可能性があります。

メンテナンスコストを下げるためにも、小型化は有効です。一隻の船でいくつものブイを交換することも可能になるためです。

発電部、心臓部、そして心臓部を保護する保護部、海面海中との接水部の四部構成としてプロダクトを再編製し、心臓部となる部分にはスマートフォンで演算処理させれば機能する可能性はあります。

心臓部のスマートフォン化およびメンテナンスの外部委託化により、現在の導入・メンテナンスコストを劇的に削減し、発展途上国津波予測の精度向上に寄与できるのではないでしょうか。

ただ、私は津波観測について知見があるわけではいので、不足している視点などがあると思います。
津波観測に詳しい方、そしてこのような開発テーマに共感して共同で開発して下さる経営者の方がいらっしゃいましたら是非ご連絡頂ければ幸いです。


最後に、今回の熊本を中心とした九州地方での震災により被災した皆様の一日も早い復興を祈念しております。

食品の傷みが視覚的にわかるツール開発

さて、前回は三次産業の食品ロスを減らせるプロダクトはないものかを考え、捨てるか食べるか、開封しないまま消費期限から2〜3日が冷蔵庫の中で過ぎてしまった、という超絶微妙なゾーンにフォーカスするところまで話を進めてきました。

似たような経験を経験した人も少なくないのではないでしょうか?
お弁当や生菓子など、買った後何かしらの理由で食べられず、消費期限を見たら既に過ぎててショックを受ける、というようことです。

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1週間過ぎたら悩まず捨てるでしょうけど、2、3日は悩みますね。
このスイーツ結構美味しいやつだし、匂い嗅いでも平気そうだから、食べようかなとドキドキしながら食べたこと、ありませんか?

ドキドキしながら食べてもあまり美味しくないと思いますけど(笑)

この不安を取り除くにはどおすればよいでしょう?
誰かに毒味させるわけにもいかないですし、お店に聞いたらやめろと言われるに決まっております。

ポイントとするなら、未開封でちゃんと冷蔵庫で保存していた、ということ。

徐々に進行する食品の痛みを視覚化するツール

食品の傷みは「温度」で大きく異なることは言うまでもありませんね。作った時から食べるまで、場所が変われば温度も変わっていきます。

つまり、消費期限は一定の時間、ある程度の温度に晒されても大丈夫な期間、と言い換えることができます。


そこで、私は温度で色が変化するシールのようなプロダクトを考えました。

シールというのは、外装に貼ったり未開封であることを証すために使用することを想定しており、また既存の梱包のフローに影響を与えず、店頭で貼るだけという簡易性を重要視したためです。

このシールは不可逆的に色が変化する特殊塗料を使用し、触れた温度と湿度の量(時間)によってグラデーションのように変化する、そんなイメージです。
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消費・賞味期限の記載も従来通り印字します。このシールは、あくまで食料の痛み度合いを視覚化するもので、時間とと共に色が変化するようなイメージです。

温度によって色が変化するので、当然高温の環境に置かれると色の変化は早まりますし、冷蔵庫のような環境であれば変化は緩やかなものになります。

未開封で冷蔵庫で保存していたけど消費期限が2,3日過ぎてしまった食材は、シールの色を見れば期限が少し過ぎてるとはいえ、色の変化で食べられる食べられないの判断がしやすくなります。

ところで、食品の「痛み」とは?

ここで、少し余談ですが食品が“傷む"とはどんな科学的反応なのでしょうか?
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食品が傷む原因の大部分は、細菌やカビなどの微生物による食品の腐敗です。微生物は、条件がそろえば急速に増殖することが知られています。
では、その条件は何かと言うと、温度です。種類にもよりますが、細菌は30~35℃程度、カビは20~25℃程度が繁殖する最適の温度になります。夏場、冷蔵庫に入れずに放置した食品が一気に腐敗するのは、室温が微生物の繁殖に最適な温度だからです。

ゆえ、同じ賞味期限が記載された食品でも、その保存環境に温度が影響することがわかります。
しかし、印字されただけの賞味期限ではどのような温度環境で保存されてきたのかまで特定できません。
保存環境を視覚的に伝えるためのシールがあれば、賞味期限の印字に加えて色の変化で更に正しく食品の衛生状況を把握できます。

しかし、技術的に色が変わるシールは作れるのでしょうか?

温度によって不可逆的に色が変わる塗料は結構あります。
しかし、その変化には高い温度差が必要で、中には上の温度が100度以上必要な色もあります。お肉ならこんがり焼けてる温度です。

無理かなぁと思ってたところ、こちらの会社にこんな技術がありました。
大手の東洋紡株式会社様が2008年のプレスリリースに掲載している記事です。
www.toyobo.co.jp


ポリエステル樹脂に特殊な蛍光塗料をブレンドすることで、温度と時間によって緑〜橙色に色が変化すると。
さらにその温度幅は含有量で調節可能であるとありますね。

さらには賞味期限の警告サインにもなるとはっきり明記されてました!
いやはや、ここに技術のすべてが揃っていたわけですね。

こんなに素晴らしい技術が8年前に発明されているわけですが、まだ実際に賞味期限の目安として使われているシーンは見たことはありませんね。

東洋紡株式会社様のこの技術も素晴らしい技術ですが、こうした取り組みを地道に続けて三次産業の食品ロスへの取り組みが拡大されることを切に祈ります。

また、食品のロスに取り組まれている事業者の方でご意見頂ける方がいましたら、コメント等頂ければ幸いです。

生産する時も、加工する時も、販売する時も、出続ける食品ロス

この記事を読んで下さっている方たちの中で、日本の食料廃棄量がどれくらいかご存知の方はいらっしゃいますでしょうか。

その量、約2000万トン!
その内食べられる量は500〜900万トン!
日本が海外から輸入している食物量は約5500トンとされているので、40%近い量が廃棄されている、ということでしょうか。

食品廃棄ロスでは世界トップレベルを誇る日本

食品ロスに関する記事はネット上にたくさんあります。
日本の食品ロスだけで途上国の5000万人が一年間食べられる、などの試算を紹介しています。

私が食料廃棄に関心を持ち始めたのは、株式会社エードットという会社からのとある相談がきっかけでした。
同企業は「もったいないアクション」という活動を展開している会社で、私は微力ながら等活動の認知拡大を支援させてもらっております。

今回、このブログではこのアクションについて紹介させて頂ければと思います。

この活動は、魚介や野菜などで品質に問題ないにも関わらず廃棄される「もったいない食材」を美味しく提供することを主とした活動です。

第一号店の築地のもったいない食材を使った丸の内の居酒屋「魚治」が2015年1月にオープンしたのを皮切りに、2016年4月現在で4店舗オープンしております。

もったいないアクションのWEBサイトはこちら
mottainai-action.com


築地では毎日「競り残」と言われる鮮魚が廃棄されてしまっていました。
その売れ残る理由というのが何とももったいないのです。
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・大きすぎて基底のケースに入らず、運びにくい
・蟹の足が一本だけ折れてる
・旬からズレてる上に量も微妙だったから引取手がいない

などなど、味や鮮度には全く影響の無いものばかり。

大量に魚を扱う以上、どうしても効率的に売っていかないとさばけない、ということは理解できますし、魚市場ならどこでも起こり得ると想像できます。築地に限ったことではないでしょう。

もったいないアクションではこうした食材を安価に仕入れ、実店舗を通じて顧客へ還元する仕組みを構築しています。
また、このアクションは農林水産省が主催する2015年度フードアクションニッポンアワードの販売活動部門においても優秀賞を受賞するなど、その活動に共感して下さる方が本当にたくさんいます。

こうした活動は普及と波及の両面から拡大させなければなりません。
ここでいう普及とは、この活動自体の認知拡大を意味し、波及はもったいない食材を減らそうという思い自体の拡大を意味します。

普及については私自身も既に頑張ってPRしていますし、この活動を拡大させるためにも必須にやらなければならないのでここでの言及は避け、波及について考察を進めます。

もったいない食材への様々なアプローチ

業務用の加工食材を滞留在庫などの理由で廃棄される前に販売している活動があります。
株式会社低音流通ネットワーク様が運営している
~中小企業の飲食店様専用サイト~ もったいない食材ドットコム
というサイトです。
送料無料の業務用食材なら もったいない食材ドットコム


もったいないアクションは今のところ生産(一次産業)寄り、もったいない食材ドットコムは取扱の食材的に加工(二次産業)寄りです。

小売、外食産業(三次産業)についての食品ロスへの取組みはどおでしょう

この記事を書いている2016年4月現在は、小売業についてはセブン-イレブンの消費期限が近いお弁当の割引問題、外食産業についてはCoCo壱番屋のロスを再販して産業廃棄物業者が摘発されたのは記憶に新しいところかと思います。

ここで、賞味期限と消費期限は違うことは読者の皆様でご存知の方も多いかと思いますが、改めて定義しておきます。
農林水産省の定義では、加工後に長期間保存ができないものは「消費期限」、保存が可能なものは「賞味期限」を表示するとしています。

農林水産省の定義はこちら
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(http://www.maff.go.jp/j/fs/f_label/f_processed/limit.html より引用)

一般的に小売業の方が外食産業より品質基準が厳しいと言われていますが、外食産業もその品質基準は相当高く、一般的に品質的に問題ないと思われる期限より早い期日を賞味期限もしくは消費期限に設定しています。
運送状況や保存環境がお店で異なるので、念には念を、という基準を設けているためのようです。

安全基準を上げれば上げるほど、食品ロスが増えるジレンマに陥ります。

つまり、この賞味期限や消費期限を境にいきなり食品的にアウト、となるケースは少ないと言えるでしょう。
むしろ、これらの表示は開封前ということを前提にしています。それに対して開封後はなるべく早く、というざっくりした表記になることも多くなるのが不思議ですね。

開封前はメーカー責任、開封後はユーザー責任

そう、これらの設定はお客様のために見えて実は作りて側の企業の防衛のためなんです。
開封後は責任がユーザーへ移るわけなので、企業としては関与しない、という訳です。
当たり前といえばそうかもしれませんが、個人的には何だか寂しい気持ちになります。

買った後、家で開封しないまま期限が過ぎてしまったとします。お弁当などあまり日持ちしないものとなると少々悩みます。
500円のお弁当でお腹を壊したら嫌ですからね。
しかし、未開封で冷蔵庫に保存していたけど、消費期限から2〜3日経ったというという微妙なゾーンの時にどおでしょうか?
私もここは悩みます。一種のギャンブルです。

そして、とるリスクと得られるリターンを天秤にかけた時、明らかにとるリスクの比重が重いわけなので、多くの人が食べられるかもしれない食材をゴミ箱に入れるわけです。私もそうです。

もし、このギャンブルをギャンブルでなくすプロダクトがあれば、「まぁ、平気そうだから食べるか」ということに繋がるかもしれません。
わずかな量かもしれませんが、食品ロスの削減に寄与できるのです。


この回も長くなってきたので、次回のブログでいよいよプロダクトデザインについて、記載していきます。