格安SIM、格安4Kの次は何がくる!?
過去の記事で格安SIMのレビューや格安4Kのレビューを書いてきました両格安ユーザーの筆者としては、次なる格安○○は気になる訳で、少しこの観点で今後の予想を立て、今からできるスタンバイを始めようと思います。
- 格安SIMと格安4Kが生まれた時代背景
- 格安4Kのプロダクトライフサイクルについて
- 購買志向は、目的達成とブランドファンの二極化の時代へ
- 次の格安はEVと予想する理由
- 格安EVの候補は既に目を出し始めている
まず、格安SIMや格安4Kが誕生してきた背景を整理します。
格安SIMと格安4Kが生まれた時代背景
格安と名前が付くからには、もちろんそれ以前に格安ではない商品が存在していました。
SIMはdocomo、au、Softbank
4KはPanasonic、SONY、SHARP、東芝、LGなど
上記各社のサービス品質、プロダクトの性能は申し分ありません。値段も多少の幅はあれ、大差無い範囲で拮抗しています。
市場としてはそんな競争が長らく続いておりましたが、そこに突如として現れたのが格安を謳うサービスや製品です。
通信にしろテレビにしろ、転機が訪れるには何かしらの背景があります。
通信については、総務省の動きが最も参考になります。
大手通信企業の寡占状態は、国内のITやネットワーク技術の成長の妨げになると懸念した総務省が、規制緩和や普及活動でMVNOを加速させたのが2010年頃。
今でも総務省のウェブサイトにMVNO普及のためのサイト
総務省|MVNO支援コーナー
が存在しています。詳しくはこちらをご参照下さい。
これを契機にイオンなどの強力な販売力のある企業の参入が続き、2014年には日経MJのヒット番付で東の横綱に選ばれています。
2015年には携帯端末のSIMロック解除が義務化されるなど、格安SIM市場拡大の後押しが続きました。
そんな追い風を受け、2016年頃までは着実にユーザー数を伸ばした格安SIMですが、その勢いは徐々に大手キャリアのサブブランド戦略に圧され、2017年頃より格安SIMのブランド淘汰が始まっています。楽天のFREETELの買収などはまだ記憶に新しい方も多いと思います。
少しマーケティング的な観点から考察すると、この様子はプロダクトライフサイクルという概念の中で成熟期〜飽和期あたりに位置する市場の状態です。
格安4Kのプロダクトライフサイクルについて
さて、それでは格安4Kはどうかというと、プロダクトライフサイクルの観点からはまだ成長期というところでしょう。
新規参入が活発で、各社のシェア獲得で競争が激しい状態です。この時期は市場シェア、ユーザーからの信頼の獲得のためにしのぎを削りあう時期で、このタイミングの勝者が格安4K市場の価格決定力や機能要件の決定力を持つリーダーになります。
格安SIMは価格の下落は下げ止まった感がありますよね。
最安プランは通話料込みで1000円〜2000円弱。外出先などWi-Fi環境が無くてもストレス無くパケットを利用するには、通話料込みで大体3000〜4000円強くらいが相場といったところではないでしょうか。
格安SIM、格安4Kの2つに共通するのは、提供されるサービス面でのメリットは格安だろうとそうでなかろうとほとんど同じ、ということです。
通話、メール、LINE、インターネットやゲームがストレス無くできれば正直、通信会社なんてどこでもいい訳です。
ユーザーはiPhoneが好きであって、docomoやSoftbankが好きという方はあまりいないでしょう。どちらかというと、キャリアを切り換えるのが面倒だから同じキャリアを使ってる、という方が多いのではないでしょうか。
テレビも同じく、地上波、Blu-rayやDVD、HuluやNetflixがきれい見たいのであって、テレビは手段に過ぎず、きれいに見る目的を達成したいのです。
購買志向は、目的達成とブランドファンの二極化の時代へ
今でもSONYやPanasonicのファンはたくさんいます。それがブランドの力なので、全く否定しませんし、むしろそうした志向がある方はおそらく格安○○にも興味を持っている方が多い印象さえあります。
ブランドファンと、目的達成派とを違う人間として分けるのではなく、同じ人間の中で二極化が進むと私は考えています。
目的達成派は、目的に対して最も経済的かつ効率的な手段を選択する傾向にあるので、価格や購入のしやすさが重要になります。
以前はステータスとして一種の資産価値があった自動車も、目的達成派には「移動するための乗り物」という目的と認識されます。
ゆえ、自動車は所有よりシェアやレンタカーが好まれますし、実際その手のサービスは拡大の一途で、月額制で高級車でもファミリーカーでも、ライフスタイルに応じて車を変えられるユニークなサービスも始まっています。
一方で、魅力的な体験ができたり、会いたい人に会えたりする機会、人と人をつなぐ場にはたくさんの時間とお金をかけますし、自分のパーソナリティ形成に必要なもの(趣味、服など)にもお金を使います。
その一環で、自分を表現するブランドにはたくさんのお金を使う、コアなブランドファンになっていったりもします。
つまり、一人の人間の中に、ブランドファンという一面と目的達成派という一面の両面を持つことになります。
こうした消費者心理が、今後求めるものは筆者は「モビリティ」だと思っています。製品的には電気自動車(EV)です。
次の格安はEVと予想する理由
筆者は以前、自動車のモジュール化という記事を当ブログで記載しましたが、次なる格安○○は電気自動車(EV)だと予想しています。
その理由は、数人しかいないベンチャー企業が海外で4Kテレビを製造して国内販売できる時代に、自動車が作れない理由がないからです。
確かに、これまでは3万点もの部品から構成される自動車の製造は相当ハードルの高いものでしたが、電気自動車になるとその部品点数は1/3〜1/10程度になると言われています。ほとんど家電製品と変わらないんです。
参照:平成23年度中小企業白書
しかも、電気自動車を構成する重要なパーツであるモーター(旧エンジン)や電池は、外部メーカーから調達するに過ぎず、機械図面や電気系統の設計図さえできればあとは調達と組立だけ。スマホやテレビと全く同じです。
自動車はトヨタ、日産、ホンダ、BMなどの超大手が台頭してきました。しかし、EV市場は超大手と平行してベンチャー企業も突出してくると思われます。
低価格EVを謳うベンチャー企業が出てきても、上記の超大手企業が衰退するとは別の話です。むしろ、技術革新や開発による先駆者的な立ち位置となり、先駆者が開拓した市場の普及版をベンチャーが製造していく形になると思われます。ベンチャー企業ではなく、超大手のサブブランドかもしれませんが。
格安EVの候補は既に目を出し始めている
例えばアフリカをターゲットに開発されているイタリアのミュンヘン工科大学が開発している格安のEV「aCar」
販売価格は約135万円を予定しているようで、現在は現地での試験運転を行っている段階のようです。
国内では「FOMM」という元トヨタの設計者が立ち上げたベンチャー企業がタイを中心としたASEANをターゲットに開発を続けています。
販売価格は100万円以下での販売を見込んでいます。国内販売は2020年頃ともう少し先になりそうですが、多方面から資金調達に成功しており、その成功確度は高いと思われます。
上記の2種とも、一回の充電で可能な走行距離や加速などの評価基準に照らし合わせれば、その数値は大手に比べれば低いです。しかし、自家用車で一日に100km以上走る日なんて、年に10回あるかないかでしょう。
年に10回の遠出に耐えられるEV車を500万円で購入し、実際は近場の買い物に使うなんてことは、目的達成派のユーザーには無駄でしかありません。
目的達成派は、近場ならカーシェアやレンタカー、突発的な移動ならタクシーの方が理にかなっていると感じるでしょう。
そうした近場移動なら、一回の充電でたとえ100km走れなくても全然問題ないわけです。
ただし、モビリティには格安SIMや4Kとは異なり、安全性や充電インフラの問題が複雑に絡んできます。ゆえ、「格安」というよりは「低価格」「ローコスト」くらいのオブラートに包まれた言い回しが普及するかもしれませんね。
電動アシスト自転車以上、軽自動車以下のゾーンでこの目的達成派の心をくすぐれるかが、格安EVの普及の鍵になるでしょう。